漆液の主成分はウルシオールであり,カテコールの一種である.通常ラッカーゼという酵素によって漆液を高湿度下で室温硬化させるので,漆器作製に長時間を要する.ここでは漆の主成分であるウルシオールに対してUV照射による迅速な硬化を試みた.ところが,UV照射法では表面の光沢が低下した.これは表面にシワが発生するためであることがわかった.そこでこれを抑制すべくUV硬化前に臭素化を行って硬化速度を遅くする方法を検討した.その結果数十秒以内の臭素化処理で光沢の低下を防ぐことができた.さらに,明度,彩度などの色彩因子に関しても本法で得られた膜は従来法によるそれより劣ることはなかった.以上の事実から臭素化とUV硬化によって漆器の迅速な製造が可能になることを示唆している.