抄録
加硫ゴムの長時間疲労特性における支配要因を明らかにする目的で、一定伸長下の応力緩和過程での寿命分布に関する統計的解析により、加硫NBR系の破壊挙動に対するゴム相の架橋密度、NBR中のニトリル量、カーボン粒子の種類および充てん量等の影響を調べた。純ゴム系では単一クラックの不安定成長に基づく偶発破壊が生じ、その特徴は架橋密度およびニトリル量に依存しないこと、また、カーボン充てん系では種々のエネルギー損失機構 (応力緩和) が働き、損傷が徐々に蓄積される摩耗破壊が生じることが明らかになった。これらより、非結晶性ゴムであるNBRには補強性充てん剤の配合が不可欠であることが推定された。そして、系の長時間疲労特性は、充てん粒子近傍でのゴム-粒子間相互作用およびマイクロクラック発生に基づくエネルギー-損失機構と密接に関連していることが示唆された。