抄録
一般大気環境下での鉄筋コンクリート (RC) 部材・造建築物の物理的寿命は, コンクリートの中性化とそれに続く内部鉄筋の腐食の進行で, かぶりコンクリートのひびわれ・剥落が生じる時, 日常安全性が損なわれるという根拠で設定される.しかし, 高分子仕上塗材による有効な表面処理を行えば, それ自身の著しい劣化や接着不良が起こらない限り, コンクリートの中性化及び鉄筋腐食を抑制することができ, その物理的寿命が延命化するので, 長い寿命の設定が可能となる.ここでは, 高分子仕上塗材のコンクリートの中性化抑制効果を等価かぶりコンクリート厚さへ換算する方法, 及び鉄筋腐食抑制効果を等価ひびわれ発生腐食減量率へ換算する方法に基づいて, 高分子仕上塗材で塗装した鉄筋コンクリートの合理的な耐用年数の設定法について述べる.