代表的なリサイクル材料であるスチレン系熱可塑性エラストマー (TPS) を対象として, 材質のもつ固有のリサイクル性・耐久性を実用的に解明することを目的に, バージン成分などを付与することなく実用条件を考慮したリサイクル工程を繰り返し, 各段階での物性変化を評価した.その結果, 以下のリサイクル・熱老化メカニズムが明らかになった.初期の段階では加熱工程によりTPSの分子鎖が分散し, 分子鎖密度の疎密のばらつきが小さくなるなどの理由から, 材料の機械強度は若干増加する.そして再成形により分子鎖は再びスチレンブロックを中心に凝集し, 機械強度は元のレベルに復元する.しかし, 2回の再成形工程後ではスチレンブロックの凝集力が低下し, 分子鎖が分散するため, 機械強度は一時的な増加傾向を示す.さらに, 3回の加熱工程後では酸化劣化の影響が顕在化し, 機械強度の低下が認められた.
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