抄録
国内外の原子力発電所のステンレス鋼製機器の溶接部分において応力腐食割れが問題とされており, その対策として溶接部を熱硬化性の樹脂でカバーする予防保全工法が知られている.従来からあるこれらの施工法では施工に要する時間が長く, 作業者の被曝量が問題とされてきた.そこで我々は溶接線部分を樹脂でカバーする新たな施工法を開発した.この施工法においては, 工場で予め樹脂複合材料のシートを成型加工することにより作業時間の短縮化を実現した.2種類の熱硬化性のエポキシ樹脂およびビニルエステル樹脂がこの施工法に用いられる.本工法においては熱硬化性の樹脂を工場でシートに成型加工するため, 硬化過程における硬度と接着強度の相関を明らかにすれば, 施工後の硬度測定から接着強度の推測が可能になると考えられ, 硬化過程における硬度と接着強度変化を試験した.この結果より, 施工後の硬度測定から接着強度を推測することが可能であると考えられる.