2012 年 53 巻 2 号 p. 109-116
皮膚科診療に必須である皮膚真菌症の診断能力を向上させるために,後期研修医の到達目標,すなわち,皮膚科専門医になる段階で最低限修得しておくべき診断の知識・技術の水準を提示した.これには検体採取法の要点,KOH直接鏡検法,最低限の真菌培養法,分離頻度の高い菌種の大まかな同定法が含まれている.しかし,後期研修医が自学自習でこの水準に到達することは困難であり,また個々人を対象とした講習会を通じて日本医真菌学会が直接教育を行うことは不可能である.したがって,各医育機関において後期研修医の教育に直接たずさわる上級医(指導医)の育成が必要と考えられた.そこで,さらに上級医(指導医)が皮膚真菌症を教育する際に理解しておくべき事項を選別して提示した.今後本学会は講習会などを企画し上級医の養成を行うことで後期研修医の真菌症診療能力の向上を図ることが可能であろう.