2022 年 33 巻 1 号 p. 16-21
超音波診断装置(以下,エコー)は単なる画像診断装置ではなく,新たな治療を創出するツールとして運動器診療での活用範囲が拡大しつつある。本稿では初学者向けに運動器エコーに関する基本的な知識を紹介しつつ,理学療法士による活用方法について述べる。 エコーはプローブを当てて即評価ができるその簡便性が最大の長所であり,医師は診断のみならずエコーガイド下注射など診療の補助ツールとして活用している。理学療法士にとっては,触診や体表解剖の触診ツールとして,理学療法評価や治療の補助ツールとして活用できる。例えば,関節可動域制限の制限因子の特定,筋断面積,筋線維長,筋輝度といった筋機能の評価が可能である。さらに近年注目されるfasciaの観察も行うことができ,多職種の共通言語としてエコーを使用することで異常fasciaによる疼痛,伸張性・滑走性の低下に対する評価・治療に役立つ。