抄録
大気の拡散や移流を調べる上で、大気トレーサー法は有効な方法で、現在までにSF6や螢光粒子等種々のものが開発されている。しかし、環境アセスメントにおいて複数の汚染源があり、個々の汚染への寄与を知りたい場合や複雑な移流を、複数のトレーサーを用いて調べることはそう容易なことではなく、容易に多重トレーサー実験ができるシステムが望まれていた。そこで、今回上記の点を考慮し、主として希土類元素をトレーサー物質として粒子状で放出し、フィルター上にサンプリングして放射化分析するアクチバブル・マルチ・トレーサー法 (AMAT) を開発し、その予備的な実験を行ったので報告する。この方法の大きな特徴は、適当な条件を持つ元素を選択すれば容易に多重拡散実験ができることにある。元素としては、Eu, Dy, Ho, Luが経済感度が良いと考えられる。トレーサーの放出は、物質を水に溶かし圧縮空気による特殊な噴霧器で行い、ローボリウム又はハイボリウムサンプラーによリサンプリングした。この方法とSF6との同時比較実験では、多少の差は見られたものの良い一致を示すことがわかり、瀬戸内海・燧灘で行った海陸風のトレーサー実験でも計算による予測値と良い一致を示した。