Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
本州中央部御前崎沖合の大陸斜面上における海底付近の流速の直接測定
石崎 廣朝岡 治小長 俊二高橋 道夫
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1983 年 33 巻 4 号 p. 257-268

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抄録
 御前崎沖の大陸斜面上、(33°46.0'N, 137°37.3'E) の地点で、1980年12月21日から1981年5月2日にかけて、係留系による海底付近の流れの直接測定を行なった。測定深度は2200mで海底深度は2300mであった。この位置は、気象研究所によって敷設された水位計の約3km東方にあたる。水位計のデータも合わせて解析された。
 観測された流れは、全般には、大陸斜面の等深線に沿って、表層の黒潮とは逆方向の西南西に流れていた。しかし、観測期間中に3回、方向を東南東に変えて斜面を下る成分を持ち、10日間から15日間ほど持続した。常にではないが、温度と圧力も流速の変動に対応して変動するように見える。海上保安庁水路部発行の半月毎の200m深・水温水平分布図によれば、表層の黒潮は、全般に、観測点の南側を流れているが、上述の3期間には、黒潮流軸の小蛇行の発生に伴い、流軸が観測点へ接近、ないしはその北側へ移動したことが示唆される。これらのことから、表層の黒潮と、温度躍層よりもずっと下の海底付近の流れとの間に力学的なつながりがあるかもしれないことが示唆される。
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© 1983 気象庁気象研究所
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