Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
振子に電気的フィードバックを施した火山用長周期地震観測装置の開発
田 望中禮 正明田中 康裕細野 耕司
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1984 年 35 巻 1 号 p. 21-29

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抄録
 電磁式変換器にフィードバック増幅器を組み合わせることにより、その固有周期を引き延ばす方法を開発した。この方法を用いて、火山観測に使用する目的で、固有周波数0.5Hzの電磁式変換器を使って0.1Hzまで長周期化した小型・可搬の変位型地震観測装置を設計製作した。
 振動試験の結果この観測装置は、0.1~10Hzの周波数帯域で平坦な倍率特性を有していること、倍率は地動変位の50倍から100倍、200倍、500倍まで切替えられ、±10-4~±0.4mmの地動変位を観測できることが確かめられた。また温度試験では。-5°C~27°Cの広い温度範囲で安定に動作することが確認された。
 この観測装置は、悪い環境下でも安定した性能を有する10秒周期の電磁式地震計として利用価値が高く、1982年10月から「火山用長周期地震計」として阿蘇山の観測に使用しており、多数の火山性長周期地震を記録している。
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© 1984 気象庁気象研究所
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