抄録
1981年7-8月に瀬戸内・新居浜海岸で、1982年8月に岡山平野の中央で、ドップラーソーダを用いて、150-500m上空の気流と拡散パラメータを連続観測した。このデータを新居浜海岸のパイロットバルーンと低層ゾンデのデータ、倉敷のパイロットバルーンデータ等と比較検証し、次の結論をえた。
すなわち、ドップラーソーダによる風のデータはパイロットバルーンの測定とよく対応し、十分実用に使える。また、パイロットバルーンではえられない鉛直流や拡散パラメータも測定されるため、地形や熱の影響を含む気流理論の有力な検証手段となる。
海岸での拡散パラメータは各成分とも、海陸風の交替あるいはシノプティックスケールの前線通過に限って、全層で大きな値を示すのに対し、内陸平坦地上では、一様な風系内での地表の熱効果や建造物の力学効果に対応して、特定成分のみ大きな値を示すことがあった。
パイロットバルーンと低層ゾンデデータによる鉛直拡散係数とドップラーソーダデータによる鉛直拡散係数を試算して比較したところ、鉛直分布の傾向は一致したが、時刻と高さに関係して、系統的なずれが見られた。原因として、パイロットバルーンと低層ゾンデによる係数が熱エネルギーの拡散を表現するのに対し、ドップラーソーダは運動量を対象としていることも考えられ、実用に供するには両者の差異を配慮すること、必要によってはドップラーソーダによる算定法を改良することがのぞまれる。
ドップラーソーダに対する今後の課題として、測定高度を1000m程度まで増大させること、水平拡散係数を適切に表現する手法の開発が残されている。