御前崎沖合の大陸斜面上、(33°45.6′N, 137°35.8′E) の地点で、1982年12月1日から1983年4月17日にかけて136日間の深層流の直接測定を行なった。係留点は、東海道沖大冷水域の北部に位置し、海底深度2200m、海底の傾きは約4×10
-2であった。4個の流速計を、海底上30m (L1)、100m (L2)、310m (L3) および1000m (L4) に設置した。しかし、L3では最初の16日間を除いて、流速の記録が得られなかった。
全期間を通じての平均流は、L1 (海底上30m) で南東向き、L2 (100m) では南向きである。大きなスケールでみた等深線に対して垂直な流速成分が、平行な成分よりも大きい。このことは、ほぼ同じ位置でなされた前回の観測の結果 (石崎他, 1983) (海底上100mの流れは、全般に、大きなスケールの等深線に沿って西南西に流れていた) と異なっている。この全般的な流れの方向の差について議論する。
流れの場の時間変化は、L1 (30m) とL2 (100m) とでよく対応し、また、温度変動は下の三層の間でよく対応している。しかし、L4 (1000m) と下層との対応性はあまり明らかでない。東西および南北速度成分の分散の相対的な大きさの鉛直変化を調べると、速度変動場に対する海底の傾斜の影響は、L4 (海底上1000m) ではもはや効果的でないことが示される。スペクトル計算によると、変動の全運動エネルギーの値は各層によって非常に異なるが、どの層でもそのエネルギーの半分以上は、周期が16.3~52日の周波数帯に含まれている。
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