Papers in Meteorology and Geophysics
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35 巻, 2 号
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原著論文
  • 吉川 友章
    1984 年35 巻2 号 p. 39-48
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     1981年7-8月に瀬戸内・新居浜海岸で、1982年8月に岡山平野の中央で、ドップラーソーダを用いて、150-500m上空の気流と拡散パラメータを連続観測した。このデータを新居浜海岸のパイロットバルーンと低層ゾンデのデータ、倉敷のパイロットバルーンデータ等と比較検証し、次の結論をえた。
     すなわち、ドップラーソーダによる風のデータはパイロットバルーンの測定とよく対応し、十分実用に使える。また、パイロットバルーンではえられない鉛直流や拡散パラメータも測定されるため、地形や熱の影響を含む気流理論の有力な検証手段となる。
     海岸での拡散パラメータは各成分とも、海陸風の交替あるいはシノプティックスケールの前線通過に限って、全層で大きな値を示すのに対し、内陸平坦地上では、一様な風系内での地表の熱効果や建造物の力学効果に対応して、特定成分のみ大きな値を示すことがあった。
     パイロットバルーンと低層ゾンデデータによる鉛直拡散係数とドップラーソーダデータによる鉛直拡散係数を試算して比較したところ、鉛直分布の傾向は一致したが、時刻と高さに関係して、系統的なずれが見られた。原因として、パイロットバルーンと低層ゾンデによる係数が熱エネルギーの拡散を表現するのに対し、ドップラーソーダは運動量を対象としていることも考えられ、実用に供するには両者の差異を配慮すること、必要によってはドップラーソーダによる算定法を改良することがのぞまれる。
     ドップラーソーダに対する今後の課題として、測定高度を1000m程度まで増大させること、水平拡散係数を適切に表現する手法の開発が残されている。
  • 石崎 廣, 遠藤 昌宏
    1984 年35 巻2 号 p. 49-62
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     御前崎沖合の大陸斜面上、(33°45.6′N, 137°35.8′E) の地点で、1982年12月1日から1983年4月17日にかけて136日間の深層流の直接測定を行なった。係留点は、東海道沖大冷水域の北部に位置し、海底深度2200m、海底の傾きは約4×10-2であった。4個の流速計を、海底上30m (L1)、100m (L2)、310m (L3) および1000m (L4) に設置した。しかし、L3では最初の16日間を除いて、流速の記録が得られなかった。
     全期間を通じての平均流は、L1 (海底上30m) で南東向き、L2 (100m) では南向きである。大きなスケールでみた等深線に対して垂直な流速成分が、平行な成分よりも大きい。このことは、ほぼ同じ位置でなされた前回の観測の結果 (石崎他, 1983) (海底上100mの流れは、全般に、大きなスケールの等深線に沿って西南西に流れていた) と異なっている。この全般的な流れの方向の差について議論する。
     流れの場の時間変化は、L1 (30m) とL2 (100m) とでよく対応し、また、温度変動は下の三層の間でよく対応している。しかし、L4 (1000m) と下層との対応性はあまり明らかでない。東西および南北速度成分の分散の相対的な大きさの鉛直変化を調べると、速度変動場に対する海底の傾斜の影響は、L4 (海底上1000m) ではもはや効果的でないことが示される。スペクトル計算によると、変動の全運動エネルギーの値は各層によって非常に異なるが、どの層でもそのエネルギーの半分以上は、周期が16.3~52日の周波数帯に含まれている。
  • 1980年10月~1983年3月
    広田 道夫, 村松 久史, 福井 史雄, 室松 富二男, 橋本 雅彦, 桑島 正幸, 小池 捷春
    1984 年35 巻2 号 p. 63-69
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     CF2Cl2の大気中での寿命を求めるために、CF2Cl2の測定を北海道・女満別において1980年10月から1983年3月まで行った。
     風向がNWからNの場合の月平均体積混合比がバックグラウンドの変化傾向を表していると考えられたが、この場合の年平均増加率は15 ppt/年 (ppt=10-12)であった。
     ここで得られた年増加率と大気放出率のデータ (CMA, 1983) から大気中での寿命は24年 (5年~∞) と計算された。この値は従来推定されてきた値に比較して短かいが、これは1980年、1981年の放出量が多目に見積られているためであると考えられる。
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