Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
静岡市周辺の地震活動
吉田 明夫浜田 信生小泉 岳司
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1986 年 37 巻 2 号 p. 135-143

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抄録
 1983年以降、気象庁で採用している新しい震源計算方法によって再計算された震源を用いて、静岡市付近の地震活動を再検討した。地震の分布には、伊豆半島南端と静岡市付近を結ぶテクトニックな構造線を境にして、その北東側と南西側でははっきりした違いが存在する。すなわち北東側には 30 km より深い地震はほとんど存在せず、10 km より浅い地震は非常に少ない。この構造線に直交する方向の断面図からも、この線を境にして震源の深さ分布が変わっていることがはっきりと認められる。また、ごく浅い地震は構造線の周辺に分布する傾向がみられる。
 地震活動の時間的変化に関してみると、1974年伊豆半島沖地震が発生する以前は構造線の近くに比較的集中していたのに対して、この地震のあと、構造線の北東側の領域で地震活動が復活した。これは伊豆半島での地震活動の活発化に対応して、その後背地にあたるこの領域のストレスが高まったことを反映しているとみることができる。また1965年に静岡市付近に発生した M 6.1 の地震前後の地震活動をみると、この地震が発生する前のほうが後より活発であったようにみえる。この傾向は静岡地方気象台での震央距離 30 km 以内の有感地震の回数の変化にも認められる。構造線沿いの活動に関しては、M 6.1 の地震の前後で地震活動の収束と拡散の傾向がみられるが、しかしこれはそれほど顕著ではない。静岡市付近では1944年東南海地震の直後にもかなり活発に地震が発生した形跡がある。また、この地域の地震と伊豆半島南端の地震発生との間には相関が認められる。このような事実は、静岡市付近がこの周辺地域一帯のストレス場の変化に敏感な特異な地点であることを示している。ここの地震活動については、そのテクトニクスにおける意義とともに、周辺地域における大地震の発生との関連においても注目されよう。
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© 1986 気象庁気象研究所
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