抄録
気象研究所大気大循環モデル (MRI・GCM-I) による長期予報実験の一例を報告する。ここでは単に月平均アノマリがどの程度予報出来るかということのみならず、初期条件 (IC) のインパクトと海面水温異常 (SSTA) のインパクトがそれぞれどのような時間経過をたどるかという点を調べることを主な目的としている。赤道東部太平洋域でエル・ニーニョが活発であった1983年5月1日を初期値として選び、2か月間の積分を行っている。
低緯度域では既に1か月目で SSTA インパクトの方が IC インパクトを上まわっている。月平均でみられる大規模なアノマリはよく予報されている。2か月目では、アノマリがよく予報される領域はせばまり、東部太平洋赤道域から大西洋赤道域に限られてくる。2か月目ではICインパクトは殆ど無くなる。
北半球中・高緯度では、1か月目はICインパクトの方が SSTA インパクトを上まわる。但し南半球の方では両者はほぼ同じ大きさに達している。アノマリはピーク付近では有意である。しかし予報されたアノマリは実測とよい対応を示さない。2か月目に入ると場所によって SSTA インパクトがICインパクトを上まわるようになる。そのような場所ではアノマリ相関が1か月目より2か月目の方がよくなっている。