抄録
湯河原体積歪観測井での水位の同時連続観測により、歪計に及ぼす地下水位変動の影響を調べた。その結果、湯河原では、降水後の地下水位の上昇に伴い、歪はまず膨張し、その後、約2日の時間遅れで縮みのセンスを示すようになる事がわかった。これは、歪計センサー付近のごく局所的な帯水層の間隙水位の上昇による岩盤の膨張と、より広い範囲の帯水層の歪計に対する荷重が合成された効果と考えられる。また、その応答特性は季節により大きく異なり、これは、地下の状態の違いにより、降水→水位→歪と影響が伝わっていく仕方を表す伝達関数の形そのものが変化する事を示しているものと思われる。