Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
原著論文
逆断層による応力場と関連する地震活動
小高 俊一
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 44 巻 3 号 p. 91-104

詳細
抄録
 半無限均質媒質を仮定し、その中に置かれた矩形逆断層による静的変形を計算し、直交する二方向の破壊応力 (断層生成に寄与する応力として、ずり応力と一定割合の法線応力を加算したもの) の変化、また参考のためにdilatation、ずり応力の変化を求めた。さらに、その数値計算結果に符合するように生じたと思われる地震活動の事例の収集を行った。
 断層側端の近傍あるいはスリップの延長上、断層端より共役に膨張域に延びるあたりなどで破壊応力が増大し、その様な所で余震活動、次の断層運動などが期待される。実際、逆断層地震の発生でその隣接領域に次の破壊が発生した例は多い。千島海溝、南海トラフ等海溝沿いに、空間的、時間的に近接して巨大地震が発生するのはこの典型と言ってよい。1944年東南海地震と1946年南海道地震、また、1958年、1963年エトロフ地震、1969年北海道東方沖地震と1973年根室半島沖地震はこの例である。スリップの延長方向に破壊が延びた例としては1978年宮城県沖地震があげられよう。この地震は、低角で潜り込む面上で生じたマルチプルショックと考えられている。共役な方向で生じた地震活動の例としては、1982年浦河沖地震、1991年西表島群発地震に伴う活動があげられるが、発震機構の矛盾など問題が残る。
 上記の計算では、二次的に発生する活動は、もとの断層面に平行かあるいはそれに共役な向きの断層面を有する、純粋な逆断層によるものと仮定している。しかしこれとは異なって、プレートの潜り込みによる巨大逆断層地震が発生する海域側で、高角の正断層地震が発生することがいくつかの地震の解析より示されている。1933年三陸地震、1938年塩屋埼沖地震がその例である。モデル計算の結果、低角の逆断層の生成に伴って、その海域側で高角の正断層が生じ易くなることも示される。
 ここで収集した逆断層の生成に伴う地震活動の事例は、静弾性論に従った応力場の計算の妥当性を更に確実なものにするとともに、それが地震活動の予測にも有用であり得ることを示していると思われる。
著者関連情報
© 1993 気象庁気象研究所
前の記事
feedback
Top