Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
多仰角PPI観測に基づくデュアルドップラーレーダー解析から算出された鉛直流を “Floating Boundary Condition” を用いて補正するための、水平発散に含まれる誤差分散の数値実験による見積もり
山田 芳則
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1997 年 48 巻 2 号 p. 49-65

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抄録
 多仰角PPI観測に基づくデュアルドップラーレーダー解析から算出された鉛直流の補正を Chong and Testud (1983) によって開発された “Floating Boundary Condition” を用いて行うために、生のドップラー速度データに含まれるランダムな誤差に起因する水平発散場の誤差分散を数直実験によって見積もった。Cressman型の重み関数を用いて影響体積内の速度データを重み平均した値を共通の格子点上に内挿した。降水システムが浅い場合と深い場合の2つの場合について、水平発散場の誤差分散や利得の計算を行った。鉛直シアーを含まない実験の結果から、いずれの場合についてもデュアルドップラーレーダー観測の対象となるようなスケールの現象は解析の過程でほとんどゆがむことなく、その再現性がよいことがわかった。このような現象の水平スケールに関する限り、水平発散場の誤差分散の大きさは一定と考えることができて、その大きさはドップラー速度がランダムなノイズを含む場合だけの時の値にほぼ等しい。いくつかの基線の長さについてドップラー速度がランダムなノイズだけを含む場合の結果から、生のドップラー速度データに含まれるランダムな誤差の標準偏差の値を用いて水平発散の誤差分散を計算するための簡単な方法を示した。これらの値は鉛直シアーの存在によっても大きく変わらないので、多仰角PPIによって観測されたデータから Cressman型の重み関数によって影響体積内の速度データを重み平均する方法に基づいて算出された、ほとんどの鉛直流の補正に用いることができると考えられる。
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© 1997 気象庁気象研究所
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