Papers in Meteorology and Geophysics
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48 巻, 2 号
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原著論文
  • 小高 俊一, 塚越 利光, 高山 博之
    1997 年48 巻2 号 p. 41-48
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     日本の内陸 (近海を含む) に発生する横ずれ断層の地震には、往々にしてそれに共役な断層の発生あるいは地震活動が伴う。その際、共役な活動の殆どが、ある一定の側、すなわち、もとの横ずれ断層によってそれに共役な面での摩擦力が低下する側で発生している。この傾向が広く一般的に見られる性質であるとすれば、余震あるいは次の地震の発生に剪断応力のみならず法線応力の増減が深く関わっていることになる。このことは、クーロンの破壊条件に従ってすべり破壊の発生に関わる応力変化を評価する場合に、摩擦係数としてどのような値を用いるべきかに関係する。数十年以前の地震については、発震機構、両断層 (活動) の相対的位置などに曖昧さが残り断定的なことが言えないが、近年の地震についてはそれらがよくわかっており、共役関係にある確実な事例を収集・調査することが可能となってきた。本研究では、先ず、共役断層に対するCoulomb Failure Function (CFF) の計算を行い、摩擦係数値の大小による応力分布の違いを調べた。さらに実際の事例として、1978年伊豆大島近海地震M7.0と1990年伊豆大島付近の地震M6.5、1984年長野県西部地震M6.8とその最大余震M6.2について、CFFの分布との比較を行い、両者が典型的な上記の関係にあることを示した。この比較から、日本の内陸性の横ずれ型の地震に関しては、摩擦係数として、0.1~0.3のような小さな値より、むしろ0.5~0.7のような大きな値のほうが好ましいという結論を得た。
  • 山田 芳則
    1997 年48 巻2 号 p. 49-65
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     多仰角PPI観測に基づくデュアルドップラーレーダー解析から算出された鉛直流の補正を Chong and Testud (1983) によって開発された “Floating Boundary Condition” を用いて行うために、生のドップラー速度データに含まれるランダムな誤差に起因する水平発散場の誤差分散を数直実験によって見積もった。Cressman型の重み関数を用いて影響体積内の速度データを重み平均した値を共通の格子点上に内挿した。降水システムが浅い場合と深い場合の2つの場合について、水平発散場の誤差分散や利得の計算を行った。鉛直シアーを含まない実験の結果から、いずれの場合についてもデュアルドップラーレーダー観測の対象となるようなスケールの現象は解析の過程でほとんどゆがむことなく、その再現性がよいことがわかった。このような現象の水平スケールに関する限り、水平発散場の誤差分散の大きさは一定と考えることができて、その大きさはドップラー速度がランダムなノイズを含む場合だけの時の値にほぼ等しい。いくつかの基線の長さについてドップラー速度がランダムなノイズだけを含む場合の結果から、生のドップラー速度データに含まれるランダムな誤差の標準偏差の値を用いて水平発散の誤差分散を計算するための簡単な方法を示した。これらの値は鉛直シアーの存在によっても大きく変わらないので、多仰角PPIによって観測されたデータから Cressman型の重み関数によって影響体積内の速度データを重み平均する方法に基づいて算出された、ほとんどの鉛直流の補正に用いることができると考えられる。
  • 金久 博忠
    1997 年48 巻2 号 p. 67-71
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     2次元の山岳効力の線形公式への弱非線形補正を考察する。無次元化された山の高さは小さく、ε のオーダーと仮定した。最初の近似では山岳効力は ε2 に比例し、線形公式で与えられる。山の形が殆ど対称な場合には、次の近似で山岳効力への補正は ε4 に比例する。一つの対称な山の形に対して、この0 (ε4) の補正項を計算した。この項は正と成り、従って少なくとも0 (ε4) 迄では、非線形性は山岳効力を増加させる。
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