Papers in Meteorology and Geophysics
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余震群等において水平動の上下動に対する振巾比はマグニチユードによつて変るか?
末広 重二
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1959 年 10 巻 2 号 p. 135-143

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抄録
地震のマグニチユードは元来水平動振巾に基いて定められたものである.しかし,筆者は前に伊豆沖地震の余震を調べたときには,高倍率の地震計は上下動しかなかつたので,これによつて余震のマグニチユードを定めた.ただしマグニチユードによつて水平動の上下動に対する振巾比は変らないという仮定を設けてあつた.
昭和33年2月より松代地震観測所にベニオフ地震計三成分が設置されてから,余震群が二つと頻発地震群が一つ観測されたので,これらを調べて,前記の仮定が正しいかどうかを検討した.
すなわち,同一地震群に関する限り振巾比は変らない.つまり上下動振巾を用いてこの仮定を基にしてマグニチユードを決めても,M2.5より6.5位の範囲では補正を加える必要はない.しかし振巾比の平均値は近地々震では2.8,中距離では1.3と出ているので,震央距離や発震機巧によつては比の絶体値は変化すると考えられる.
余震群の調査をする場合,主震のマグニチユードは大抵各機関によつて慎重に決定されるから,余震のマグニチユードはそれを基にして決定しうる.この時上下動振巾を用いてもよろしいということができるわけである.
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© 気象庁気象研究所
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