Papers in Meteorology and Geophysics
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ユーラシヤ大陸上における運動量,顕熱及び水蒸気輸送について
戸松 喜一荒井 康村上 多喜雄
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1962 年 13 巻 2 号 p. 145-162

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抄録
運動量, 顕熱, 水蒸気の南北輸送を実測風と地衡風を用いて求め比較検討した。期間は1958年9月14日から10月13日の一ケ月間である。運動量については地衡風で求めたものがあらゆる高度, 緯度で実測風で求めたものよりも大きい。差は上層ほど大きく,緯度50度で最大である。顕熱輸送における大きな差は高度分布の違いである。実測風では850mb,55°Nで最大であるが,地衡風では地表の55°N附近が極大となる.これは地衡風が地表で大きすぎるためと思われる。顕熱の輸送はよく知られているようにトラフの軸の垂直方向の傾きに関係し,傾きは一般に850mb附近で大きいので実測風によるものの方が良いと考えられる。水蒸気の輸送は主として平均子午面循環によつてなされる。一方平均子午面循環は地衡風では推定できない。したがつて水蒸気輸送の計算は実測風によらねばならない。エネルギー交換についても実測風によるものと地衝風によるものとを比較した。有効ポテンシヤルエネルギー関係の交換は問題ないが,運動エネルギーの帯状流と擾乱のやりとりは地衡風では実測風よりもはるかに大きな値となる。
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© 気象庁気象研究所
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