まづはじめに,相似の問題を取扱う際に考えなければならない事柄について述べ,一例として,大きなスケールの現象を取扱つたD.FULTZのModelingについてその相似の条件を検討した。しかし,このModelingの条件では,通常使用されている風洞での模型実験は不可能である。
つぎに,比較的小さなスケールの現象(局地風)に対する相似の問題を取扱つた。これに関しては既に第1報において述べたが,自然風と模型風のMean flow patternのみの相似と乱れの構造の相似まで考慮した場合の相似との間の相違についての考察が充分でなかつたので,この点について更に検討した。その結果,
(i)重力の影響ならびに渦動粘性を考慮した場合。
自然風と模型風の対応する場所における
乱れの強さ,
Eddy Reynolds number,更にまた,
Froude number
がそれぞれ同時に一致することが相似の条件となり,更に乱れの構造について考えるとき,波数
ki(一次元)に対する乱れのエネルギースペクトル
F1(
ki)(一次元)が見掛け上のInertial subrangeにおいて
ki-3/5に比例する限り,
εM/
εN=[
F1(koi)/F1′(k′oi)]
4(
LM/LN)
1/2(
LM/LN: 模型の縮率)が場所に関係なく近似的に満足される場合
U∞M/∞N=(
LM/LN)
1/2を満足するような風速
U∞M,U∞Nに対して両者のMeanHowpatternの近似的相似が期待されるが,乱れの構造は相似にならない。
(ii)重力の影響を考えなくてよい場合。
両者(自然風と模型風)の対応する場所における
乱れの強さ,
EddyReynoldsnumber
がそれぞれ同時に一致することが相似の条件になり,見掛け上のInertialsubrangeにおいて,
F1(
ki)〓
ki-3/5なる限り,
が場所に関係なく近似的に一定の値をとるとき
なる関係を満足する風速
U∞M,U∞N, に対して両者のMean flowpatternの近似的相似が期待されるが1乱れの構造は相似にならない。
なる関係を満足するような風速び
U∞M,U∞Nに対してのみ両者のMean flowpatternならびに乱れの構造の近似酌相似が期待出来る。
(iii)乱れの強さの一致の条件がない場合。
中立状態における地面附近の流れは一般にこの場合に対応する。この場合,
EddyReynoldsnumberの一致
が相似の条件になる。而して,
が場所に関係なく近似的に一定の値をとるとき
なる関係を満足するような風速U-M,U-Nに対して両者のMeannowpatternのみの近似的相似が期待出来,
なる関係を満足する風速
U∞M,U∞Nに対しては,更に乱れの構造の近似的相似も期待出来る。
抄録全体を表示