抄録
2次元または多次元ガンマ型分布のいくつかの重要な性質が実際の降雨量に応用するために研究される。初めに変形ベッセル函数を用いて2次元ガンマ型分布を導入し,回帰函数や2変量の和,積および商の各分布が導かれる。又2次元のχ2-分布やF-分布等も研究される。
次に多次元ガンマ型分布を標本論の応用から容易に得られる特性函数の逆変換により定義し,また多次元のWishart分布の特別な場合として導かれることも示す。これ等の結果を用いて,正規確率過程とは本質的に異るガンマ型確率過程が定義される,
最後に正規変換と呼ばれる変換による相関係の変化の理論的考擦と,埼玉県南部に設定された雨量計網から得られた10分雨量の相関解析の結果から,実際の雨量の分布はガンマ型分布ではなく,このようにして変換された雨量がガンマ型分布をすると見倣した方が自然であることを示し,2次元または多次元ガンマ型分布は,ガンマ型確率過程と同様に変換された雨量に対して応用されるべきであることを述べる。