抄録
海水中の酸素の減少は有機物の酸化(呼吸)によるものとし,有機物の分布,水の拡散などを考慮に入れて,酸素極小層の出現を考察した。
海洋においては,海流,水平および鉛直方向の拡散があるので, 酸素の分布は生物地球化学的な過程と,海水の動的な運動の二つの重なり合いによって決定されると考えられる。
著者らは,溶在酸素の時間的変化に関するSverdrupの方程式を用いて, 北太平洋西部海域における酸素の分布を考察した。
計算の結果は,定常状態においては,水平方向の移流は,水平方向の拡散や生物による消費にくらべてかなり大きく,水平方向の移流が,鉛直方向の拡散とほぼつりあっていることが分った。