1962年2月10日朝鮮半島西岸に位置した低気圧は,11日発達しつつ日本海上を通過し,ひきつづき12日には寒気の吹出がみられた。第1報ではこの冬期の典型的な気象状態のみられた3日間について,主としてTIROS IVのchannel 2 輻鮒資料をもちいて日本海上での雲の分布・発生状況を調べたが,この報告ではさらにchannel 3(0.2-6.0μ)輻射資料をもちいてalbedoの分布を求め,前報の結果とあわせて,委節風下における日本海海上での積雲の発生状況をより詳しく解析する事を試みた。その結果は次の様に要約される。
1. albedo, channel 2 equivalent black body temperature(T
BB)および雲量分布の問には非常に高い相関が見出された。
2.寒気吹出の状態で日本海域でみられる最大のalbedoは積雲のovercast域の30%であつた。またT.V写真との比較によつて海面のalbedoは5%である事が知られた。
3. albedo分布から雲量を推定し,ついでT
BBから雲頂高度の推定を行なつた。この推定は雲量10以下の部分においても行なわれ得るが,その結果は他の観測事実ともよく一致した。
4. 雲量は日本海沿岸沖250km附近から急速に増加しはじめる。気団の変質と比較すると気団が大陸をはなれてからのち,海面から0.4gr・cm
-2程度の水蒸気補給を受けた前後から雲量が急に増加している。
5. 雲頂高度の増加はゆるやかで,250~300km沖あいで850 mb程度,沿岸部分で800~750mb程度である。この高さは,この日,寒気団内部に存在した顕著な逆転層下面の高さと一致していた。
この報告は気象研究所・北陸豪雪特別研究の一部分としてなされたものである。
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