Papers in Meteorology and Geophysics
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局地風とその模型風の相似について
根本 茂
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1968 年 19 巻 2 号 p. 131-230

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抄録

自然風を対象とした現地測定は,多大な労力と経費を必要とし,なかなか充分な資料が得られないため,実用的な問題の解決にあたっては,風洞による模型実験に頼る部分が非常に多い。しかし,実験によって得た結果を自然風現象に適用する際の重要な根拠となる相似則に関しては,いろいろの提示があるにもかかわらず,まだ明確な結論が得られていない。
本研究では,定常状態で,比較的風の強い場合の近似的な相似則を取り扱った,対象とした範囲の最大は,水平方向約4km,垂直方向約1.5kmである。
まず相似の条件に関して仮説をたてた。すなわち,自然風と模型風の乱れの構造が相似であれぽ,両者の平均流のパターンの間にも相似が期待できると仮定し,ローカルな乱れの構造を特徴づける量として最小渦(Taylorの定義したいわゆる最小渦と異なり,慣性領域に属する最も小さい渦)の大きさ,速度を導入し,これにKolmogoroffの局部等方性乱流理論の第2仮説を適用し,対応する場所の最小渦の相似の条件から,(1)特別な場合として,(2)を求め,これを平均流のパターンの相似餌の条件とした。これらの条件は「分子根粘生の影響が無視できる低どの大きさの風速になると,それ以上の大きさの任意の風速で両者の平均流のパターンが相似になり,ある条件のもとでは,εM=εNの特別な場合が期待できる」ことを意味するものと理解される。これをもって相似則とし,その妥当性を実験ならびに理論的考察により検討した。

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© 気象庁気象研究所
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