Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
日本における降水量の永年変動
鈴木 栄一
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 19 巻 3 号 p. 363-399

詳細
抄録

日本における降水量の永年変動の状態をまず,年降水量について調べ,つぎに月別の降水量について解析し,さらに年降水量のうち梅雨期雨量,台風による雨量についてその変動状態を統計的に解析した。解析の方法としては,順位相関によるトレンド検出,直交多項式およびそれを変換した通常の多項式のあてはめ,変動状態を記述するいくつかの指数の計算の3つを採用し,増加または減少の実態を明らかにし,地域的な比較を行なった。資料は1900年以前から観測のなされている本邦全気象官署の1964年までの値である。
主な結果をあげると
(i)本邦全域としてみた場合,増加傾向になっている地点が多い。
(ii)とくに九州,四国地方は顕著な増加傾向域となっているが,それは主として台風による雨量が増加しているからである。
(iii)東北,北陸地方では増加と減少の区域が入りみだれて存在し,とくに冬季降水量(降雪量)の明らかな増加域が点在しているが全般的には減少している。
(iv)関東地方はどの月別の降水量にも減少傾向の場合が多く,それが年降水量の明瞭な減少傾向となってあらわれている。
などである。
これまでの研究で定性的に知られていたことが数量的な結果として明らかにされ,資料補足によって若干訂正された結論が得られた。

著者関連情報
© 気象庁気象研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top