Papers in Meteorology and Geophysics
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松代群発地震前後における近地地震スペクトルの変化
末廣 重二
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1968 年 19 巻 3 号 p. 427-435

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抄録

松代群発地震の発生前(1964年)と終末期(1967年)において,松代地震観測所で記録された震源地と規模をほとんど同じくする近地地震(S-P:約2秒)のスペクトルを比較したところ,著しい差がみられた(Figs.2-5)。群発地震発生前には200cps以上の高周波が豊富に記録されたが,終末期にはこのような高周波成分はほとんど見られなくなってしまった。この研究によって,かかるスペクトルの変化はきわめて多数発生した地震により破砕された群発震源域の媒質によって起こされたもので,かかる媒質中を伝播する地震波高周波成分の減衰は多くの割れ目による散乱であることを明らかにした。従って茂木の実験で示されたように,今回の松代群発地震はきわめて不均一の地域が歪みを受けた結果,破壊が群発地震として進行し,その結果数多くの割れ目ができたという現象であろう。

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© 気象庁気象研究所
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