Papers in Meteorology and Geophysics
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太陽直射光および周辺光の分光測定(II)
-近赤外域の測定-
村井 潔三
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1968 年 19 巻 3 号 p. 447-480

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抄録

装置の詳細と紫外,可視域における測定の結果をPartIに述べたが,エーロゾルの粒径分布を推定するためには近赤外域の測定が極めて重要であるので,この領域の測定を容易にするために装置の改良を行い新しい装置を作製した。また,古い装置における測定誤差の主な原因と思われる部分の改良もほどこしてある。
直射光の測定から得られたエーロゾルの光学的厚さの波長分布は3つの型に分類される。FoitzikおよびDeirmendjianの計算結果と比較して推論された粒径分布は上の3っの型に対応して次の様に表わされる。
TypeI粒子半径r<1.0μの領域ではsteepなpower law分布を示し,0.1<r<0.5μでは分布曲 線はhollowを示し,0.5<r<1.0μではhumpを示している。TypeII Foitzikの仮定した4つのGaussian groupの組合わせにより表わされるが,0.5<r<1.0μの領域に存在するGaussian groupの粒子数はFoitzikの仮定したものよりも僅かに少い。TypeIIIかなりsteepなpower law分布により表わされ,7>1.0μの領域では分布曲線の傾斜は僅かに減少している。周辺光の強度は太陽からの角度θ<5°の領域では波長と共に増加する分布を示し,θ>10°の領域では変化は非常に少く,あるいわ,僅かに波長と共に減少する傾向を示している。周辺光強度の大気外値に対する相対値はθ=1°ではほぼ10-4のorderを示し,2<θ<5。では10-5のorder,θ>10° ではほぼ10-6のorderである。周辺光の強度は大気の混濁度の増加と共に増加し,混濁度の増加に対する周辺光強度の増加の割合は波長が大きい程大きい。
周辺光強度の波長分布の型ほ明確な分類は難かしいが,前述の粒径分布のTypeIに対応する波長分布は波長λ<0.5μ の領域で急激な増加を示し,TypeIIに対応する分布は波長と共にゆるやかに増加する傾向を示している。TypeIIIに対応する分布はTypeIIに比して急激な増加を示す曲線で表わされる。
周辺光強度の角度分布の傾斜は波長と共に増加し,Volz,Bullrich等の測定よりも傾斜は急である。また,Deirmendjianの計算結果と比べると角度分布の傾斜は非常に急である。
分布曲線の傾斜の波長による変化はTypeIの粒径分布に対応する場合に最も大きく,TypeIIIの場合に最も小さい。

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