抄録
京葉臨海工業地帯埋立地で行なった飛砂観測の結果を用いて,つぎの問題を検討した.
1)従来の理論的結果および風洞実験結果の野外観測への適用の可否.
2)砂粒が跳躍し始める時の摩擦速度U*tを決める簡単な実用的な方法.その結果,
1)定常状態における飛砂量を推定する河村の理論式は砂面の極く近くでは野外観測に対しても適用できると思われる.
2)これまでに風洞実験でえられている結果は,限られた条件(i--v)のもとでは,野外観測に対しても適用できる,
i)飛砂の場合にはwind profilesは砂面に近いところで一点に集まる,すなわち,焦点(focus)がある,
ii)焦点の高さ,焦点における風速に対してZXNGGの実験式が適用できる,-
iii)砂粒の大きさからroughness parameterを決めるZINGGの実験式は野外観測にも適用できる,
iv)砂粒が跳躍し始める時の摩擦速度を推定するBAGNOLDの実験式は野外観測の場合にも適用できそうである.
3)U*tを決める簡単な実用的な方法を提案する,
i)wind profilesのみから求める方法,
ii)砂粒の平均粒径を測定し,あとは計算によって求める方法.