Papers in Meteorology and Geophysics
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20 巻, 4 号
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  • 山岬 正紀
    1969 年20 巻4 号 p. 289-336
    発行日: 1969年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    低緯度の条件付不安定大気申の大規模じょう乱の性質を摂動方程式を解いて調べた。条件付不安定成層の効果は,放出される熱量が摩擦層上端の上昇流に比例するという仮定を用いてモデルにとり入れた。
    低緯度の条件付不安定大気モデルでは,台風の他に3種類の不安定波が存在しうることがわかった。第一は,一般流の鉛直シアーが強い程又緯度が高い程大きな発達率をもち,下層の一般流に流される不安定波。第二は,適当な強さの鉛直シアーに対して最も不安定になり,又緯度が低い程発達率が大きく,下層の一般流より少し速く西進する不安定波である。この2つの不安定波の水平波長は2,000~4,000kmで,熱と鉛直シアーと地表摩擦とが重要な役割を果す。これらの構造は,低緯度対流圏の偏東風波動じょう乱の構造にかなり良く似ている。第三の不安定波は,水平波長が3,000~12,000kmで,上層での熱放出量が多いときには8,000~12,000kmになる。成層圏で強い一般流がないときには,この不安定波だけが成層圏下部で大きな振幅をもち,成層圏で軸が大きく西に傾く。この波の構造は,柳井と丸山(1966)によって見出された赤道地方の成層圏じょう乱の特徴の多くを表現している。
  • 桜庭 信一, 森口 実, 山路 勲
    1969 年20 巻4 号 p. 337-364
    発行日: 1969年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    和歌山県海南市では200m煙源と地表煙源から,大分市では150m煙源と地表煙源から,同時にトレーサーが散布され,高煙源拡散と地表煙源拡散の同時比較がなされた。高煙源と地表煙源では散布するトレーサー(FP)の色を変えている。
    海南市は北と南を150~400mの丘陵または山に囲まれた東西に延びる渓谷の町で,西端が海に面している。大分市は北が海に面し,背後地が丘陵地であるが,トレーサーは比較的平坦地上を流れた。
    解析は,風下距離の少なくとも一点で,濃度の鉛直分布とトレーサー到達時刻が得られたもののみについてなされた。これからトレーサー雲の高さ,濃度の鉛直幅(Pasquill安定度),輸送速度が得られ,地表濃度の解析が正確になる。
    地形の複雑な海南市では,高煙源の方が地表煙源よりPasquill安定度が若干高いが,大分市では逆である。またPasquill安定度そのものは海南市の方が,高・低煙源にかかわらず,気象条件はそれほど違わないのに,圧倒的に大きい。これは拡散に及ぼす地形の影響が大きいことを示すものである。
  • 根本 茂, 三寺 光雄, 高橋 克巳, 魚津 博, 小林 節子
    1969 年20 巻4 号 p. 365-383
    発行日: 1969年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    京葉臨海工業地帯埋立地で行なった飛砂観測の結果を用いて,つぎの問題を検討した.
    1)従来の理論的結果および風洞実験結果の野外観測への適用の可否.
    2)砂粒が跳躍し始める時の摩擦速度U*tを決める簡単な実用的な方法.その結果,
    1)定常状態における飛砂量を推定する河村の理論式は砂面の極く近くでは野外観測に対しても適用できると思われる.
    2)これまでに風洞実験でえられている結果は,限られた条件(i--v)のもとでは,野外観測に対しても適用できる,
    i)飛砂の場合にはwind profilesは砂面に近いところで一点に集まる,すなわち,焦点(focus)がある,
    ii)焦点の高さ,焦点における風速に対してZXNGGの実験式が適用できる,-
    iii)砂粒の大きさからroughness parameterを決めるZINGGの実験式は野外観測にも適用できる,
    iv)砂粒が跳躍し始める時の摩擦速度を推定するBAGNOLDの実験式は野外観測の場合にも適用できそうである.
    3)U*tを決める簡単な実用的な方法を提案する,
    i)wind profilesのみから求める方法,
    ii)砂粒の平均粒径を測定し,あとは計算によって求める方法.
  • 田中 康裕
    1969 年20 巻4 号 p. 385-416
    発行日: 1969年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    伊豆大島で,JMA-62A型電磁地震計による多点観測を行った結果,活火山三原山で発生する4種類の火山性微動および1種類の特殊な火山性地震が見出され,それらを次のように名付けた.
    火山性常時微動:火山活動の静穏期に,常時発生している火山性微動.
    前駆微動:噴火の前後に発生する火山性微動.
    噴火微動:噴火に伴って発生する火山性微動.
    末期微動:噴火活動の末期に現われる火山性微動.
    前駆地震:火口付近で発生する火山性地震で,噴火に前駆して起こることが多い.上記4種類の火山性微動について,振幅の大きさ・波動の見かけの周期範囲,卓越周期,コレログラム,スペクトル,減衰係数,振動型などを比較し,それぞれ異った性質を持っている火山性微動であることをたしかめた.
    三原山の一連の火山活動は,「静穏期」,「噴火に先行する現象が発生する時期」,「噴火活動の最盛期」および「噴火活動の末期」の4段階に分けられる.そして,火山活動の静穏期に発生し続けていた火山性微動は,噴火活動を迎えると複雑な変動を始める.
    先ず,噴火に先行して,前駆地震,前駆微動,噴火微動が,この順序に発生して噴火活動に入る.次に,噴火活動の最盛期には,噴火微動と前駆微動とが交互に発生する.そして,噴火活動が末期に近づくと,末期微動が発生し,やがて,この微動は火山性常時微動に移行して噴火活動が終る.
    火山活動に関して,これらの規則性が見出されたことは,三原山の噴火予知上,大変有効なことであると信ずる.
  • 1969 年20 巻4 号 p. 416-
    発行日: 1969年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
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