抄録
伊豆大島で,JMA-62A型電磁地震計による多点観測を行った結果,活火山三原山で発生する4種類の火山性微動および1種類の特殊な火山性地震が見出され,それらを次のように名付けた.
火山性常時微動:火山活動の静穏期に,常時発生している火山性微動.
前駆微動:噴火の前後に発生する火山性微動.
噴火微動:噴火に伴って発生する火山性微動.
末期微動:噴火活動の末期に現われる火山性微動.
前駆地震:火口付近で発生する火山性地震で,噴火に前駆して起こることが多い.上記4種類の火山性微動について,振幅の大きさ・波動の見かけの周期範囲,卓越周期,コレログラム,スペクトル,減衰係数,振動型などを比較し,それぞれ異った性質を持っている火山性微動であることをたしかめた.
三原山の一連の火山活動は,「静穏期」,「噴火に先行する現象が発生する時期」,「噴火活動の最盛期」および「噴火活動の末期」の4段階に分けられる.そして,火山活動の静穏期に発生し続けていた火山性微動は,噴火活動を迎えると複雑な変動を始める.
先ず,噴火に先行して,前駆地震,前駆微動,噴火微動が,この順序に発生して噴火活動に入る.次に,噴火活動の最盛期には,噴火微動と前駆微動とが交互に発生する.そして,噴火活動が末期に近づくと,末期微動が発生し,やがて,この微動は火山性常時微動に移行して噴火活動が終る.
火山活動に関して,これらの規則性が見出されたことは,三原山の噴火予知上,大変有効なことであると信ずる.