Papers in Meteorology and Geophysics
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松代群発地震発生前の同地方における地震活動について
荒川 義則末広 重二
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1970 年 21 巻 1 号 p. 33-44

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抄録

松代群発地震発生前の同地方における地震活動の状態を大,中,小および微小地震について調べたところ,次のことが明かとなった.
1)松代附近の過去の大地震と群発地震はすべて今回の群発地域以外で発生している.つまり今回の群発は空白として残された場所に発生した.
2)群発前8年間の小地震と微小地震の活動状態を見ると,初期の群発発生地域では活動度が低く,逆に後に群発発生地域の拡がった周辺地域で高かった.
3)小群発活動が1963年4月から1964年6月にかけて何回か発生している.しかし発生地域は初期の松代群発発生地域と異なる.松代群発はこの活動が一旦止んでから開始された.
4)石本・飯田のm値は群発以前には小さく(m=1.65),群発の開始と共にm=2.02に増えた.
5)以上松代群発発生前の地震活動の状態は何人かの研究者によって言われている大地震前の活動状態によく似ている.即ち,大地震の発生前の地震活動はある期間異常に低くなり,逆に周辺地域で活溌になるという事実である.

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© 気象庁気象研究所
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