1970 年 21 巻 1 号 p. 45-72
スーパープレッシヤー気球と精密気圧ゾンデを開発し,これらと自動方向探知機(GMD-1A)とを組合わせて,高度5km,水平距離100kmの範囲の鉛直気流の測定法を実用化した.今まで富士山麓周辺,鈴鹿山脈周辺,阿武隈山地周辺において,30個の気球による観測を行なったが,得られた結果は鉛直気流の解析に役立ち,またこの方法が安定した実用的方法であることがわかった.
気球の静特性,動特性をしらべ,近似的には気球の運動は気流の運動に等しく,必要な場合には前者を後者に換算する方法をのべた.
気球が所定の高度で安定にバランスする条件を求め,気球の設計基準を示した.また現場での調整重量,自由浮力の計算法をのべた.
別にテトルーンーセオドライト2点観測システムを開発した.これは低層における気流測定に有効で,すでに700個以上がその目的に利用された.