抄録
1953~1962年の10年間の毎時潮汐記録を用いて瀬戸内海および大阪湾の高潮の生長と減衰に関する性質を明らかにする.これらの海では,検潮所の局地的な地形に関係なく,台風が検潮所のやや西側を通る時に最も顕著な高潮が起る.瀬戸内海の高潮には豊後水道から流入する海水が大きな役割りを果たし,大阪湾の高潮は紀伊水道から侵入する海水に支配される.瀬戸内海の高潮と大阪湾の高潮の相互干渉は明石海峡付近で起っているが,その影響は小さいようである.
これらの性質はさらに数値実験によって調べられた.計算結果は観測事実とかなりよく合っている.