抄録
BRADLEY(1968)によれば,粗い地衷面から滑らかな地表面に急に変化する際,その境目からある程度離れた風下側の各地点における風速の鉛直分布はPANOFSKY-TOWNSEND理論によって碓定された分布とあまりよく一致しない。理論的に推定された風速の鉛直分布は実測された分布よりも風速の小さい方へずれる,即ち実測された分布は加速されたような形になる。
しかし,その理由がよくわからないので,BRADLEYの観測値を用いてこの問題を再検討してみた。
その結果,Roughness parameterを適切に選べば実測された風速の鉛直分布はPANOFSKY-TOWNSEND理論によって推定された分布とよく一致し,BRADLEYのいうような加速は認められなかった。
(この研究は文部省科学研究費補助金による研究の一部である)