Papers in Meteorology and Geophysics
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北太平洋における放射性廃棄物処分の評価
杉浦 古雄猿橋 勝子三宅 泰雄
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1976 年 27 巻 3 号 p. 81-87

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抄録

放射性廃棄物の北太平洋における深海処分に関する評価を,拡散過程にもとづき,簡単化した閉鎖系モデルを用いて行なった。
水平および鉛直拡散係数の値をかえて計算した結果,拡散係数が小さいと核種の相対濃度と放射壊変法則の間のくい違いが大きくなり,係数が大きくなれば,放出点直上における濃度は平均均一濃度にちかづき,放出量と壊変量が等しい平衡時においては,海水中における核種の存在量は壊変定数に反比例するという放射壊変法則を満足することがしめされた。
海洋学および放射能学の見地から,北太平洋における線量評価のためには,鉛直拡散係数として102cm2/s,水平拡散係数として108cm2/sが適切かつ合理的であることが結論された。
高放射性廃棄物を次のように定義した。
1.β/γ 放射体については、10 Ci/t(3Hを除く)。
90Sr+137Csについては1 Ci/t.
2.3Hについては、104Ci/t。
3.長寿命α放射体は投棄できない。

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© 気象庁気象研究所
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