Papers in Meteorology and Geophysics
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海洋処分に不適当な高レベル放射性廃棄物に関する国際原子力機関の定義についての批判的研究
三宅 泰雄猿橋 勝子
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1976 年 27 巻 3 号 p. 75-80

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抄録

海洋処分に不適当な高レベル放射性廃棄物と他の放射性物質の定義が,国際原子力機関によって与えられている(1975)。この定義はWEBBとMORLEY(1973)の報告に基くが,多くの問題点があるので,彼らの報告について批判的研究を行った。研究の結果,彼らは安全のために水平方向のうず拡散係数の値を,非常に小さく(104cm2/s)仮定したために,226Raや239Puのような半減期の長い核種については,環境容量限度が非常に過大評価されていることが分つた。さらに水産食品の摂取量を非常に少なくし(6g/d),また深層水の上部と表層水中の放射性核種の濃度比の値を非常に大きく(100)とったために,環境容量限度が各核種に対して,過大評価されている。高レベル放射性廃棄物の定義は,関係する各国の専門家によって,慎重に再検討されることを提唱する。

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© 気象庁気象研究所
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