Papers in Meteorology and Geophysics
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ワン・ウェイ・ネスティング・スキームの比較テスト
八木 正允岡村 存
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1978 年 29 巻 3 号 p. 125-140

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抄録

狭領域の数値予報モデルの横の境界値を作るために用いられるワン・ウエイのネスティング法のうちで,実用的にみて最良のスキームをみつけるために,次のスキームについて比較テストを行なった.
(1)オーバー・スペシフィケーションを避けることを基本条件にしたもののうち,内域量から補外する部分に,
i)最も単純な補外式を使ったもの(SEスキーム),
ii)Sundstromの方法(SSスキーム),
iii)広域モデルの空間差分量を利用したもの(SGスキーム),iv)岡村の方法(SOスキーム)
(2)放射条件を利用したOrlanskiの方法(Oスキーム)境界付近に緩衝領域を設ける方法のうち
(3)Perkey&Kreitzbergの方法(Tスキーム)
(4)Daviesの方法(D1スキーム)とそれを簡単化した方法(D0スキーム)比較のための数値実験は,次の2つの場合に単純化して行ない,コソトロール・ランの値と比較された.
(1)広域モデル値に,位相速度誤差を与えた場合.
(2)狭域モデルのみに,孤立したじょう乱を与えた場合.結果は次の通りである.
(1)誤差が少ない点からも,計算上の安定性の上からも,Tスキームが一番よかった.
(2)D1スキームとD0スキームは,ほとんど同じ結果を得た.安定性はあるが,Tスキームに比べると,やや誤差が目立つ.ダンピング係数が大き過ぎることに,少し問題があるように思われる.
(3)緩衝領域を設けないスキームの中では,今回新たに提案したSGスキームが最もよい.24時間積分の範囲内では,ほぼD1スキームと似たような結果を得たが,更に長時間の積分に対しては,不安定になる傾向がみられる.
(4)Oスキームは,じょう乱の位相速度の決定に,かなり問題がある.

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© 気象庁気象研究所
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