日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: A5
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rDNAの塩基配列によって推察されるうどんこ病菌Neoerysiphe属の系統関係
*原田 守高松 進Vasyl HelutaSvitlana Voytyuk
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抄録
Neoerysiphe属は5種で構成されるうどんこ病菌の小さな属である. Neoerysiphe属の系統関係を再構築し, 宿主, 地理的関係からNeoerysiphe属の進化について考察することを目的として, 35サンプルのITS領域と30サンプルの28SrDNA領域のシークエンスを行い, これに既存のデータを加えて分子系統解析を行った. その結果, Neoerysiphe属は9つのグループを形成し, それぞれのグループは宿主および地理的分布により特徴づけられた. それぞれのグループの宿主はシソ科, クマツヅラ科, ヤエムグラ属, フウロソウ属, キク科の5連により構成された. シソ科寄生菌のグループN. galeopsidisは遺伝的に均一であり, これは本菌が最近になってそれぞれのシソ科宿主に分散したことを示している. 一方, キク科に寄生する菌は, キク科の連ごとに5つのグループに分かれた. うどんこ病の分子時計により, キク科の各連に寄生するグループは1000万年前以降に分化していることが示された. キク科植物はおよそ3800万年~2000万年前にキク科の各連に分化していることから, Neoerysiphe属のキク科宿主の各連への分散はhost-jumpingによるものである可能性が高い. シソ科寄生菌のグループは世界全体, キク科の2連とヤエムグラ属とフウロソウ属寄生菌のグループは西アジアとヨーロッパ, キク科の2連とクマツヅラ科寄生菌のグループは新大陸, キク科の1連に寄生する菌は日本に分布する. また, 今までキク科に寄生する菌は, N. cumminsiana1種とされてきたが, 今回の解析により5つのグループに分かれることが明らかとなった. このうちの1グループをN. cumminsianaとし, その他の4グループの新種記載を準備中である.
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© 2009 日本菌学会
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