日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: A14
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爪白癬菌の検出・同定における培養法とPCR-RFLP法の比較検討
*三川 隆藤原 恵利子鈴木 真言雑賀 威金山 明子佐藤 弓枝池田 文昭長谷川 美幸小林 寅喆
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抄録
爪白癬の主要な起炎菌はTrichophyton rubrumおよびTrichophyton mentagrophytesであるが, これらの白癬菌の培養には時間を要し, 検出率も低いため, 正確な診断や適切な抗真菌薬治療の点から問題となっている. 本研究ではnested PCRを用いて爪から直接白癬菌のDNAを増幅し, それをRFLPによって分析する同定法(PCR-RFLP法)を検討した. KOH法による直接鏡検で白癬菌に類似した菌体が観察された爪検体50例について, 培養法とPCR-RFLP法を実施し, その結果を比較した. 培養法では爪検体をサブロー寒天培地に接種し, 27℃, 10日間培養した. PCR-RFLP法では爪検体からDNAを抽出し, 白癬菌に特異的なプライマーを設計してnested PCRを行い28S rDNA遺伝子を増幅した. 特異的プライマーで増幅しなかった検体はユニバーサルプライマーを用いて増幅した. PCR産物は4種類の制限酵素を用いて消化し, 電気泳動パターンをBioNumerics(Applied Maths, Kortrijk, Belgium)を用いて解析し菌種を同定した. 白癬菌が検出された症例は, 培養法10例に対して, PCR-RFLP法では, 34例と3倍以上の検出率であった. 特に, 培養法で白癬菌が検出されなかった40検体に対してもPCR-RFLP法では26例から白癬菌を検出することが出来た. また, 白癬菌同定までの時間は培養法では10~20日間を要したが, 本方法では2日以内に短縮された. なお, 白癬菌とその他の菌種が混在していると考えられたPCR産物については温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)で目的のDNAを分離した後にPCR-RFLP法を実施することにより白癬菌を検出することが出来た. PCR-RFLP法は爪白癬菌の検出, 同定において, 迅速性, 感度の点から有用な方法であることが示唆された.
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© 2009 日本菌学会
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