日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: A19
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植物感染時におけるイネいもち病菌細胞壁成分の局在の変動について (1)
藤川 貴史阿部 敬悦久我 ゆかり*西村 麻里江
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抄録
動植物は病原菌の感染時に, 病原菌の細胞壁成分を認識する事で生体防御反応を引き起こし感染を阻止する. 一方で病原菌は自身の細胞壁成分を再構築することで宿主の認識を回避していることが知られている. いもち病菌(Magnaporthe grisea)は主にイネ科穀類に感染する病原糸状菌であり, イネによる細胞壁の認識を回避する何らかの機構を持っていると考えられるが, 感染時の細胞壁成分に関する知見はこれまでほとんどなかった. そこでイネ葉鞘を用いて感染時のいもち病菌の主要な細胞壁成分の局在について, 特異的な蛍光標識染色により観察を行った. β-1,3-グルカンやキチンは発芽管や付着器で観察されたが, 侵入菌糸ではほとんど検出されなかった. 一方、α-1,3-グルカンは発芽管や未成熟な付着器及び侵入菌糸で検出された.またプラスチック上で感染器官を形成させた場合, α-1,3-グルカンは付着器でしか検出されなかったが, 植物成分の添加によりα-1,3-グルカンが発芽管でも検出された。これらの結果から、いもち病菌においてα-1,3-グルカンは植物成分により蓄積が誘導されることが明らかになった. イネにはα-1,3-グルカナーゼがないことから, イネによる菌の細胞壁認識の回避機構にα-1,3-グルカンが関わっている可能性が考えられる.(本研究は生研センター異分野融合研究事業により支援を受けた。)
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© 2009 日本菌学会
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