日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C3
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ヤブレツボカビ類(ストラメノパイル類,ラビリンチュラ菌綱)の沿岸域における現存量と構成する属種の季節的変動
野村 友佳*上田 真由美角江 智弘本多 大輔
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抄録
 ラビリンチュラ菌綱ヤブレツボカビ類は,陸源有機物の主要成分である難分解性のセルロースなどを分解することが知られ,現存量が細菌類の3~40%に達すると報告されている. 細菌類の捕食者と同程度の細胞サイズであるヤブレツボカビ類は,より少ない栄養段階を経て生態的に上位となる生物にエネルギーを転送するため,同化効率が良いことが考えられる. よって食物連鎖の中で分解者として果たす影響の度合は,細菌類との現存量比よりも大きい可能性が示唆されるようになっている. しかしながら,ヤブレツボカビ類の属や種が季節変動するのか,どの属や種が生態的に重要なのかといった基礎的な情報はほとんどない. 本研究では,年間を通した現存量調査と,各サンプルを構成する属や種を特定し,ヤブレツボカビ類の海洋での動態を把握することを目的とした.  神戸沿岸域の夙川河口および六甲アイランド南岸で,2008年2月以降,2~3週間ごとにサンプリングを行い,最確数法によってヤブレツボカビ類の現存量を計測した. 希釈したサンプル中のヤブレツボカビ類の検出は,松花粉を釣り餌とする培養法によって確認を行い,その過程で分離を行った. 分離した株について18S rRNA遺伝子の分子系統解析や形態観察などによって同定を行った. その結果,3~10月にかけて,構成種は新規系統群からAurantiochytrium mangroveiを経て,Schizochytrium aggregatumBotryochytrium sp.へ変動する様子が観察された. さらに夙川河口の現存量には明瞭な2つの極大が見られ,いずれもほとんどがA. mangroveiの系統群の生物で構成されていることが示唆された.
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© 2009 日本菌学会
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