日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C6
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深海域からのツボカビ様遺伝子の検出と多様性
*長濱 統彦高橋 恵理子長野 由梨子宮崎 征行能木 裕一掘越 弘毅
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抄録
菌類の初期進化は,鞭毛を有するツボカビ類を源とし,カンブリア紀以前に水環境から陸環境へ進出した,と考えられている(Heckman et al 2001). しかしながら,ツボカビの多くは淡水や陸環境から分離・報告されており,海産種はそれほど多くない. 我々は,海洋環境にもツボカビ類や接合菌類の未知系統が存在するのではないかと考えて,その検出を試みた. ツボカビ類は寄生的な生活環を持つものが多く,その分離培養は多くのもので困難であることが知られている. そのため,まず深海環境から直接抽出したDNAから存在を調査することにした. 抽出したDNAを菌類に特異的な18S rDNA PCRプライマーを用いて増幅し,クローンライブラリを作成,遺伝子配列を決定した. それらを他の代表的な真菌類と共に進化系統解析を行うことにより,深海菌類遺伝子の系統型を定義した. その結果,予想に反して,得られた菌類クローンのうち約1/3がツボカビ類や接合菌類に属していた. これらは既知の真菌類系統から大きく離れており,Basal Fungal Clone Lineage(BFC系統)と名付けられた. 出現したMBF系統は大きく分けて3タイプあり,それぞれBFC1,BFC2,BFC3とした. BFC1は独自に一つのグループを形成したが,その位置は不明瞭であった. BFC2とBFC3はRozella spp. とクレードを形成した. Rozella spp. はツボカビ寄生種であり,最近になって真菌類進化の最初期に分岐した可能性が報告されている(James at al 2006; Bruns 2006). これまでのところ,BFC系統の分離培養には成功していない. 本研究により,深海に多様なBasal fungiが相当の割合で存在することが明らかになり,真菌類の初期進化において深海環境が重要な位置を占めていた可能性があることが示唆された.
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© 2009 日本菌学会
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