抄録
2008年5月及び6月, 東経135˚25'10, 北緯35˚41'00"に位置した冠島で採集したCordyceps sp. を報告する. 冠島はオオミズナギドリの繁殖地としての保護区として規制されている. 蛾の蛹(繭)から生じたCordyceps sp. の子実体は黄色呈した褐色, 高さ3.2-4.2cm, 巾2-3mmの柄部と巾1.2-0.4cm×0.7-1.5cmの頭部からなる. 子嚢果は斜埋生で524-648μm×267-381μm, 子嚢408-613μm×6.7-8.6μm, 子嚢頭部4.8-5.2μm×5.7-6.2μm, 子嚢胞子は4本, 二次胞子に分裂する. 子嚢胞子が32に分裂するものの長さ168-212×1.7-1.9μm, 子嚢胞子が64の二次胞子に分裂するものの長さは290-302×1.9-2.2 μm, 二次胞子の長さは3.3-6.2μm, 平均4.4μm, 一方 32に分裂するもの3.8-6.7μm, 平均4.8μmであった. これまで小林(1983年)によって Lepidoptera の蛹(繭)に寄生したクサナギヒメタンポタケC. kusanagiensis は1981年7月5日山形県草薙で採集され, 稀な種として報告されている. 今回, 冠島で採集されたCordyceps sp. は明瞭に形態的な差異が認められるため, 新種としての可能性はあるのか, 現在rDNAで検討中である.