日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C8
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Haptoglossa heterospora の宿主範囲について
*計屋 昌輝徳増 征二
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抄録
Haptoglossa 属は微小動物に感染する絶対寄生性の卵菌として知られている.本属菌は線虫,ワムシに感染することが報告されており,種によって線虫のみに感染するもの,ワムシのみに感染するもの,両者に感染するものがあることが知られている.また,まれにクマムシに感染することが報告されており,本属菌は線虫,ワムシ以外にも多様な宿主に感染できる可能性がある.しかし,多様な宿主候補を用いた感染実験は行われておらず,本属の宿主範囲はまだはっきりしない.そこで,線虫寄生菌として記載された本属のタイプ種である H. heterospora を用いて,線虫,ワムシ,クマムシ,イタチムシ,ササラダニの5種類の微小動物に対する感染実験を行った.これらの微小動物はそれぞれ別の素寒天平板もしくは素寒天平板上に水を加えた二層培地で予備培養を行い,それぞれの微小動物が十分に増えたところで H. heterospora のガンセルおよび菌体を加えて室温で培養を行った.その結果,H. heterospora は5種類の微小動物全てに感染することが確認された.このことは,線虫寄生菌として記載された本種が従来考えられていたよりもはるかに多様な宿主に感染する能力を持つことを示しており,本属の他種においても同様に多様な宿主に感染する能力を持つ可能性が示唆された.従来,本属菌の分離には,線虫寄生菌,ワムシ寄生菌を分離するための方法が用いられてきたが、それでは線虫,ワムシ以外の宿主に感染する種を見落としてしまう可能性があると考えられる.今後は線虫,ワムシ以外の宿主に感染することを考慮して本属菌の研究を進める必要がある.
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© 2009 日本菌学会
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