日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C9
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復元型ビオトープ「いのちの森」における菌類遷移
*大藪 崇司折原 貴道下野 義人岩瀬 剛二
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抄録
 京都市下京区にある梅小路公園(117,133_m2_)は,JRの操車場跡地を京都市が買収し1995年に都市公園として開園した. その一部区画に「いのちの森」と呼ばれる復元型ビオトープが造成されている. 京都の景観や生物相の復元を目的として造られた約6,000_m2_の空間には,多くの植物が植栽され倒木が配置された. 菌類は意図的に導入されなかったが,園内に配置された倒木や植栽された植物の根鉢に付随して,また人や動物の移動に伴い胞子が侵入して定着している. 本研究では,いのちの森に発生した菌類相の発生消長を明らかとすることで,ビオトープ空間の復元程度を知ることを目的とした.
 いのちの森内をルートセンサスによって,1997年までは年6回程度,2003年まで年20回程度,2004年からは月1回,発生している子実体の種類,発生子実体数,発生場所を調査した.
 いのちの森に発生した総種は,283種で,材上生菌類113種,地上生菌類170種(うち菌根性75種)であった. 菌根性菌類は,1997年まで3種しか確認されていなかったが,1998年以降急増し,2000年には35種でピークを迎え,その後,漸減した. 発生消長の増減が大きかった種は,ベニタケ属,フウセンタケ属であった. イグチ科は,当初,発生種数が増加したものの,2000年の5種をピークに近年では発生が見られなくなった. これは,アカマツが植栽されている場所に腐植が堆積し出したことに起因するものと推測された. また,Quotient of Similarityを比較したところ,1996年と1997年,1997年と1998年はそれぞれ0.20,0.30と,次々と侵入することで種数が増えてきた. 1998年以降は0.5以上となり侵入して定着するものとしないものとで均衡が取れてきたと推測された. また,材上生のものが減少し,地上生が増加する傾向が認められ,今後もモニタリングしていく必要がある.
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© 2009 日本菌学会
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