日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C18
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分解段階の異なるブナ木紛に対するブナ枯死材生息菌類の分解力
*深沢 遊
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抄録

枯死材の分解過程では、多種の菌類の遷移が見られる。これらの菌類が枯死材の分解過程でどのような分解活性を示すかを明らかにするには、新鮮材だけでなく分解を受けた材に対する分解力も試験する必要がある。本研究では、分解段階の異なる3種類のブナ木紛に対するブナ枯死材生息菌類の分解力を明らかにすることを目的とした。 試験に用いたブナ木紛は、京都府北部の冷温帯ブナ-ミズナラ天然林から得た、未分解の木紛(分解段階0)および白色腐朽した木紛(分解段階3・5)である。材の分解段階が違うと材密度が異なるため、この影響をなくすために木紛にして実験に用いた。木紛の含水率を50_%_・100_%_・200_%_の3段階に調整し、合計9通りの処理をもうけた。実験に用いた菌株は、担子菌13種・子嚢菌4種・不完全世代の菌類11種・接合菌2種、合計30種30菌株を用いた。乾燥重量3gの木紛を試験管に詰め、含水率を調整して滅菌した後菌株を接種し、20℃暗黒下で6ヶ月間培養した。培養終了後、木紛の乾燥重量、酸不溶性残渣およびホロセルロース量を測定した。 木紛の重量減少率に対する菌類の分類群・木紛の分解段階・含水率の影響を三元配置の分散分析で評価した結果、分類群と分解段階の影響が有意だった。分解段階0の木紛に対しては、不完全世代の菌類にくらべ担子菌が大きな分解活性を示したが、分解段階3の木紛に対しては、特に含水率の高い条件において、不完全世代の菌類の分解力が担子菌や子嚢菌を上回ることが示された。これは主に、分解の進んだブナ材において不完全世代の菌類によるホロセルロース分解が促進されたためであることが示唆された。一方、担子菌の菌株では、分解の進んだ分解段階5の木紛でリグニン分解が阻害された。以上から、白色腐朽が進んで含水率が高くなったブナ倒木のホロセルロース分解に不完全世代の菌類が重要な役割をはたしていることが示唆された。

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