抄録
日本におけるスノーバンクきのこについて
*車柱榮1)・Cathy Cripps 2)・李相龍3)(1)北大北方生物圏フィールド科学センター;2)米国モンタナ州立大学;3)韓国江原大)
Report on snowbank mushrooms in Japan, by *J.Y. Cha1), C. Cripps2), S.Y. Lee3) (1)FSC, Hokkaido Univ.; 2)Dept. Plant Sciences & Plant Pathology, Montana State Univ.; 3)Colle. of Forest & Environmental Sciences, Kangwon National Univ.)
アメリカンロッキーの高山森林地帯に形成された、スノーバンク(snowbank)は春から夏にかけて徐々に解けていく。どうも北アメリカの西部でしか発見されないらしい高等菌類の珍しいグループがあり、標高が高いどころでの、スノーバンクが徐々に消え、それらの解け水と関連を持って発生していると考えられる。このようなものは、きのこの生育場所の恒存度(植物や菌類などの群集における特定の種が出現する頻度;常在度とほぼ同義)により、菌学者によりスノーバンクきのこと定義された。即ち、スノーバンクきのこは、発生に不可欠な水分(湿度)を雨みずより雪解け水に、より依存しているのである。
スノーバンクきのこは分類学的また、生態学的にも、多様性豊富なグループであり、ユニックな小気候(microclimate,一局地の気候)に適した子のう菌や担子菌類が多数含まれている。また、それらの栄養様式は、森林生態系における重要な役割の果たしている菌根菌・腐生(分解)菌・病原菌性である。
しかしながら、スノーバンクきのこは、主にアメリカ西部のロッキ山脈とカスケード山脈での分布が知られているが、それらの分類と生態および地理的分布に関する研究は始まったばかりである。
そこで、日本の北海道の森林地帯はアメリカンロッキーの様な多雪地域であり、特に針葉樹および針広混交林内には、春先スノーバンクが形成されユニークな環境が作られる。また、現在まで、北海道においても初春に発生している幾つかのきのこが知られているが、その生息環境に対する具体的な言及はない。したがって、本研究では日本の北海道における、初春に発生するきのこと林内に形成されるスノーバンクとの関連性を探り、それら種の生態学的位置付けについて論じる。