抄録
微弱発光計測によるナラタケ属菌の検出
*山中勝次1)・奥川裕子2)・今西純一2)・森本幸裕2)・飯田義彦2)・小島玉雄3)
(1)京都菌類研;2)京都大地球環境学堂・学舎;3)サン・アクト)
Detection of Armillaria species by low-light measurements (Photon Detection Unit) by
*K. Yamanaka1), H. Okugawa2), J. Imanishi2), Y. Morimoto2), Y. Iida2) and T. Kojima3) (1)Kyoto Mycol. Inst.; 2)Graduate School of Global Environmental Studies, Kyoto Univ.;3)Sun Act Co., Ltd.)
一般にサクラ類の生育地において,ナラタケ属菌は樹勢衰退の二次的要因ととらえられることが多い.ナラタケ属菌の群集構造や個体群動態の解析には,地下部の菌糸体分布を把握する必要がある.「えさ木」による菌糸体吊上げや,分子系統解析による検出法は長期間を要し,多大な労力や経費を必要とする.そこで、菌糸体の発光特性を利用してナラタケ属菌の土壌中の分布を調べた.調査地は奈良県吉野山のヤマザクラ生育地と,京都市内の料亭庭園である.吉野山では4つの方形区(計4,700_m2_)を,京都市内ではシダレザクラ個体の周辺を調査した.根系を掘り取り,微弱発光計数装置(浜松ホトニクス製,9692-02)により発光量を計測し300カウント/秒以上を発光菌糸体とした.ナラタケ属菌の確認は,子実体の種同定,採集菌糸体および分離培養菌糸体の形態と根状菌糸束の形成,目視発光および微弱発光計測による発光確認,などの複数の検査方法を併せて行った.
吉野山では86地点のうち23地点でナラタケ属菌の発光菌糸体が検出され,5個の切株から発光菌糸体が検出された.調査区P-2では切株や健全個体の根からナラタケモドキが多数発生し,区外の切株にはナラタケが発生した.発光菌糸体の検出により,ナラタケ属菌が集中して分布する場所が確認され,検出率の多寡は土壌構造や環境などの地域特性を反映していることが示唆された.また、ナラタケモドキの発生した切株や根系周辺の地下の菌糸体の拡がりを推定することができた.一方,京都市の庭園ではシダレザクラ個体周辺の根系の発光検出で,どの根系がナラタケモドキに感染しているかを把握することができた.微弱発光計数装置によれば,肉眼で菌糸体の存在を確認できない根系でも強い発光性を示し,ナラタケ属菌の水平分布を簡易に検出することが可能である.