日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第55回大会
セッションID: A7
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アカキクラゲ綱の形態進化と系統を反映した分類体系の構築
*白水 貴, 廣瀬 大, 霜村 典宏
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抄録
菌類の系統関係を分類体系に反映する試みはDe Bary (1866)に始まり,近年の分子系統解析の導入によって一つの合意に至りつつある.本研究ではキクラゲ様担子菌類の一群であるアカキクラゲ綱をモデルとし,菌類のより自然な分類体系構築を試みる.特に,本綱では28S rRNA gene-D1D2を用いた解析しかなされていないため,複数遺伝子を用いた信頼性の高い系統解析に基づく議論を目指す.
 アカキクラゲ綱8属41種の培養株を国内外より収集し,4遺伝子領域(28S rRNA gene-D1D2,ITS,18S rRNA gene,rpb2;合計塩基数3200bp)に基づく分子系統解析を行った.得られた系統樹を用い,本綱の分類形質として重視されてきた5つの形態形質,担子器の形態,クランプコネクションの有無,担子器果の形態,担子胞子の隔壁数,厚壁不稔菌糸の有無の祖先形質推定を行った.推定された各形態形質の進化速度を基準とし,Taylor et al. (2006)の“進化速度の速い形質はより詳細な分類的識別において,遅い形質はより粗い分類的識別において高い解像度を持つ”という概念を本綱内の分類体系構築において実践した.
 系統解析の結果,アカキクラゲ綱としては例外的な形質である二又分岐しない担子器を有するDacrymyces unisporus (L.S. Olive) K. Wellsがアカキクラゲ系統の最も基部に位置し,背着生の子実体を持つことで特徴づけられてきたCerinomycetaceae が多系統群になることが再確認された.祖先形質推定の結果,これまで科・属レベルの分類で重視されてきた担子器果の形態は進化速度が速いことから,高次分類群を定義する形質には適していないと考えられた.また,クランプコネクションと担子胞子の隔壁数は進化速度が遅く,科や目といった高次分類で用いることが妥当であると判断した.結論として,新目を設立してD. unisporusを転属させることの妥当性と,形態形質の組み合わせに基づきCerinomycetaceaeを単系統群からなる分類群として定義可能であることが確認された.
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© 2011 日本菌学会
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